鬼門方角に位置する別名「艮櫓(うしとらやぐら)」が復元
1592年から1598年頃にかけて築城された甲府城。その中で鬼門である城の北東方角にあった稲荷櫓(いなりやぐら)は1664年に建築され、明治に入っての廃城令で破却されるまでの約210年間、地震にも耐えた頑丈な建物であったといわれています。その稲荷櫓は平成16年に土蔵づくりで復元したものです。
金箔鯱瓦が出土。その詳細がわかる資料館
稲荷櫓は当時、見張台としての役割、また鎧や武器を収める武器庫として使用されていたようです。現在復元後は資料館となっていて無料で見学することができます。
入って正面に目を引くのは甲府城跡から出土した鯱瓦(しゃちがわら)の資料。金箔が施され高さが132センチメートルあり、あの国宝「松本城」の鯱瓦よりも大きかったというのでビックリします。やはり甲府城には天守閣があって早い時期に壊され撤去されたのでしょうか?謎が深まります。
当時の甲府城の大きさが分かる城全体模型が展示されている。
現在も相当大きい城跡だと感じるが、当時の甲府城は現在の約3倍の大きさがあったと言われています。実際今の山梨県庁がある部分も「楽屋曲輪」といわれる城の一部であり甲府駅も「清水曲輪」に位置しています。そう考えると当時の甲府城の大きさは相当なものだったと言えましょう。2階スペースに復元模型が展示されています。細かな部分まで精巧に作られていてわかりやすいです。山梨県庁、甲府駅の位置説明も入っているので現状との比較がしやすく分かりやすいです。
出土した瓦や皿、また築城時の説明資料が分かりやすく展示されている。
いろいろ展示してある中で目を引くのは「甲府城内には温泉が湧いていた」というから驚きです。温泉のある城は他にはないでしょう。実際、殿様やお侍も温泉に浸かっていたのでしょうか。想像するとまた歴史ロマンが広がります。
稲荷櫓の周りにある展示
稲荷櫓へ昇る階段横には石垣に使う石の割り方が展示されていて、矢穴に矢をさした状態になっています。また稲荷櫓復元時の土蔵の壁の造り方を説明した展示もあります。最後に「稲荷」についてのご説明をしようと思います。この稲荷櫓がある場所は「稲荷曲輪」(いなりくるわ)というエリアになるのですが、ここに稲荷神社があったことから「稲荷」の名が使われているとのこと。現在は甲府城南側のお堀脇に鎮座しております。
さまざまな魅力がある甲府城。甲府観光の折にはぜひ立ち寄ってみてください。
甲府城稲荷櫓
甲府市丸の内1丁目5−4 (舞鶴城公園甲府城跡)
JR中央線甲府駅(南口)から徒歩2分
ホームページ:https://kofu-tourism.com/spot/19